ダムによる淡水魚の多様性低下

福島路生(2005) 「ダムによる流域分断と淡水魚の多様性低下 −北海道全域での過去半世紀のデータから言えること」 日本生態学会誌 55:349−357

気になった結果
1,ダムによって魚の遡上を妨げて種数が少なくなる。
2,標高が低い地点に建設されるダムほど、その上流から多くの魚種が姿を消していく。
  
 環境省の「自然環境保全基礎調査」、リバーフロント整備センターの「河川水辺の国勢調査」、アセスのデータなどをまとめて、1953年から2003年までの50年間、6674件の調査分のデータベースをもとに、ダムの影響を調べた論文です。ダムによって魚の遡上を妨げて種数が少なくなるという単純な結果なのですが、とにかくデータ量がすごい。最近、こういう公的な調査結果を公開するようになりつつありますが、まだ入手困難な場合も多々あります。私の知り合いが某調査データを使おうと思って管理機関に問い合わせたら、渋られて、某先生を通してようやく入手できたということを聞いたことがあります。これらの調査の結果を“活用”した論文というのをあまり聞いたことがありません。活用されないと調査の価値なんて無いのと等しいのに、何故、活用しようとすることを役人は嫌がるのだろう?むしろあなた達がやるべき仕事なのに。
 そういう状況で、公的機関の環境調査結果を有効活用したということで、良い例だと思いました。