砂州の地下の生き物採集法

Tinea2005-10-25

 先日の淡水生物分類研究会で、砂州の地下の生き物採集法(凍結コア法)を実演していただきました。棒を突き刺して、そこに液体窒素を注いで棒を中心に土壌を凍らせて、それを取り出すという、かなり変わったやりかたです。写真は凍らせた土壌を取り出したところ。

 砂州の地下で採れるのは、正体不明の卵が3分の1程度、他に原生動物、ワムシなどの微小動物が大半を占め、他にもダミ、ミミズ、センチュウ、トビムシ、などなど。微小な生き物がほとんどですが、いろいろいるんですね。ところで、正体不明の卵はいったい何??

 砂州は河川の水を浄化していると考えられているようです。砂州の地下に伏流水として入り、そこで水に含まれる有機物がこれらの動物に取り込まれるということでしょう。ただ浄化機能を有するには、これらの地下にいる生き物が外に出るor地中で死んで植物の栄養として根から吸収されるというように、有機物が最終的に外に出る必要があるはず。浄化のメカニズムについてはこれからの研究課題なのでしょう。
 とりあえず言えることは、生物の住みか提供、水の浄化のために、川に砂州という環境も必要と言うことですね。

参考文献
竹門康弘、竹門緑、谷田一三、中島哲男、三田村緒佐武(2003) 凍結コア法による河床間隙動物の定量調査結果。 河川生態学術研究グループ編、木津川の総合研究。pp.235-241.